小川千恵のペルー日記

2001年6月〜7月  小川千恵


その1 ワラスへの長い道のり

6/21 成田16:55→シアトル9:30 (飛行機)シアトル12:30 → マイアミ8:45 ( 〃 )
6/22 マイアミ0:30 → リマ5:30 ( 〃 )リマ7:15→ワラス18:30(バス)

ペルー前半チームは2人、丹野さんと6/21に出発した。成田−シアトル間がビジネスクラスに変更になる。ラッキー!幸先が良いぞ。
座席はゆったり、座り心地もいい。食事は普通だったが飲み物サービスが充実、洗面セットも付いていた。シアトルからはエコノミーでマイアミへ国内線なので飛行機が小さい。イヤホーンを有料で貸しているのに驚く。マイアミで1h遅れで出発リマ着も1h遅れる。そのままリマでは泊まらずワラス行きのバスに乗る。途中、デモで3h足止めされワラスに着いたのが夕方の6:30になってしまった。なんと、成田出発から飛行機22h,バス11h、待ち時間入れて40hでワラスに着いた。これでやっとベットに寝られる。

その2 高度順応1.2

6/23 チュルップ湖(日帰り)
ぺテック(登山口) 3800m 8:40 →チュルップ湖 4400m 11:05 チュルップ湖 13:00 → ぺテック 14:30
6/24 パロン湖(1泊2日)
パロン湖入口4140m 12:00 → テン場4190m 14:00 テン場 14:50 → 右の湖4400m 16:15 → テン場 17:45 

6/23 丹野さんの日程に余裕がないので次の日から高度順応の為チュルップ湖へ。時差ボケのせいか高度のせいかあまり眠れなかったが朝食はしっかり食べれた。
登りは息切れはしたが順調に湖へ到着。昼食後、昼寝をしていたら具合が悪くなり始めた少々の頭痛とむかむか。下山中は体に力が入らずスローペース、ぺテックまで下山してもすぐには良くならなかった。結局、ワラスの宿で吐いてしまう。その夜"ダイアモックス"と"頭痛薬"を飲む。

6/24 昨日は、日帰りで4400mまで登ったが、高度順応の為、1泊2日で4200mに出発。パロン湖までの移動に時間がかかり登り始めが12時になってしまう。パロン湖の右岸を歩く、正面に見えるピラミデと湖の色が素晴らしく綺麗。予定より時間オーバーでテン場到着。軽く昼食を食べて右の湖まで往復した。道を間違えて沢のぼりをするはめになる急登でかなり息が切れた。テン場に戻りむかむかして食欲がないので食べずに寝た。

6/25 朝起きると前日のむかむかは無くなっていた。朝食を済ませ、丹野さんは左の湖を見に行ったが私はテントでうだうだ過ごす。下山後、翌日のウルス・イシンカの準備をする。連日の山歩きでかなり疲れ気味。風邪気味になり薬を飲んで寝る。

その3 ウルス 高所登山はつらい!

6/26 イシンカBC登山口9:15 →BC 4380m 13:55
6/27 起床 3:15 BC出発 4:00 →ウルス登頂 5495m 9:30 ウルス 9:50→13:15 BC
6/28 丹野さんイシンカ登頂 私は休息
6/29 BC出発9:05 → 登山口12:20

6/26 いよいよ前半のメインであるウルス&イシンカ登頂へ向け出発! 今日は、BCまでの行程、松島さんも一緒なので心強い。BCまでの谷は広々としていて明るくとてもいい景色。のんびり歩き気分もいい。後半バテテしまってみんなより遅れてBC着。
昼食を食べた後、あまり体調がよくないので昼寝。丹野さんは元気に歩きに行った。夕食は食欲がないがむりやり食べ明日のウルスアタックに備え6:30には寝た。体調がよくないので歩けるか不安になりなかなか寝られないまま朝になる。

6/27 3:15起床、朝はコーヒーとクッキーを少しつまんだだけで出発。雪が無い岩場をポコポコとスローペースで、20分毎に休みながら進んだ。日の出までは周りの景色が見えずただ登るだけなので辛い。自分の息の音だけだなんだか妙に響いた。高度が高いと疲れとか空腹感とかを感じなくなる様だ。ただ乾燥しているので喉が渇く。
2/3くらい登ったところでアイゼンをつけアンザイルして登る。ガイドのリベラート、私、丹野さんの順だ。結構急な登りでバテはじめる。
ピークが見えてきたがペースは上がらず、あと30分という所で休憩、お腹がすきビスケットとオレンジを食べる。フラフラになりながらも登頂! 思わず泣いてしまう。本当に登れてよかった。がこれが限界だ〜
下りは体に力が全然入らない。気分が悪く吐きたいのに吐くものが何も無くてこれがまた辛い。何度も休みながらやっとこさテン場へ戻る。高所登山は辛い。明日のイシンカアタックは諦めて今後のために休む事に決めた。
 
6/28 丹野さんがイシンカへ出発した後ゆっくりと8時過ぎに起きた。気分はだいぶ良い。昨日の夕食の残りで朝食を済ませ。テントの中をかたずけ昼寝。あまりの暑さに寝ていられなくなったので散歩に出かけた。歩くとまた気分がが悪くなるのではないかと不安になったがゆっくり休んだので大丈夫だった。テン場に戻ると丹野さんがイシンカを登頂して戻ってきていた。丹野さんの体力と根性には感心させられた。

6/29 BCからワラスに戻る日。昨日休んだので体の調子もばっちり、今日イシンカアタックだったらきっと登れただろうと、思いながらBCを後にした。ワラスに戻ると食欲も戻り、もりもり食べられた。もうワラスの街(3090m)は平地のようだ。

その4 一人ぼっちのサンタクルス

7/1 カシャパンパ 11:40 → テン場3760m 16:50
7/2 テン場 8:30 → テン場4250m 14:30
7/3 テン場 8:35 →ユニオン峠4750m 11:30 → テン場 4300m 14:00
7/4 テン場 9:20 → バケリア 3700m 14:30 

丹野さんが日本へ帰り後半のチームを待つ間、4日ほど時間があったのでサンタクルスの谷をトレッキングすることにした。パートナーを掲示板で募集したが見つからず結局1人で荷物も背負っていく事にした。

1日目 移動に時間がかかって登り始めが昼頃になってしまう。陽射しの強さと暑さにまいってしまう。6hでテン場に着くと聞いていたので暗くなる前には着きたいと思いがんばったら5hで到着した。私のほかに3パーティしかいなかった。
 
2日目、今日はユニオン峠の手前のテント場まで6hの行程。朝6時には明るくなり、7時に起きると朝日がまぶしい。歩き始めて気付いた事は太陽に向かって歩いているので行き先はまぶしくてあまり見えない後ろを振り返ると青空、逆コースなら常に青空を見ながら歩けることになる。おまけに逆コースの人が殆どで同じコースを歩いている人はいなかった。そんな事を考えていたら、前から日本人の団体。恐るべし日本人! テン場に着くが他のテントは無い。昼過ぎに雲がではじめてあたりの山は見えなくなってしまった。結局この日は夜になっても誰もこなかった。誰もいないテン場はなんだか恐ろしかった。夜9時ごろトイレに起きると月明かりに山が写ってとても綺麗だった。この調子で明日も晴れてくれるといいなと思いながら眠りにつく。

3日目 今日はこのトレッキングの核心部ユニオン峠4750mを超える。なんだか朝の陽射しがまぶしくない! 昨日の願いをよそに朝から曇り空。ペルーに来て一番天気が悪い。峠まで登り500mがけっこうきつい峠の向こう側は晴れているかもしれないと期待しつつがんばるが峠に着く前にあられが降ってきた。向こう側はよりいっそう怪しい黒い雲がかかっていた。せっかくの峠も山は見えなかった。晴れていたらどんな景色だったのだろう。次の日晴れたらもう一度峠に登って景色を見てみたいと思い峠に近いところでテントを張った。ここには1パーティだけテントがあり安心する。

4日目 峠へのリベンジの為朝早く起きて見るが辺りは真っ白、霧雨が降っている。悲しくなったがギリギリまで出発を延ばして待ってみた。一向に回復する兆しが見えないので出発。かなり遅れて9時すぎになってしまう。山は見えないが広々していて良いトレッキングコースである。また、晴れた時にもう一度歩いて見たいものだ。
バケリアからユンガイまでおよそ3h峠をバスで越えるとチョピカルキ、ワンドイ、ワスカラン、ピスコetc. 素晴らしい山々の景色が飛び込んで来た。2日後ピスコ登頂のためここに来るのかと思うと楽しみである。今日の天気の悪さも一気にふっとび良い気分でワラスの街に戻った。でも、やっぱり一人っきりのトレッキングは寂しい。

その5 ピスコはとても登り易い山

7/6 ピスコ登山口 3900m 11:30 → BC 4630m 15:00
7/7 BC 9:40 → HC 4910m 12:20
7/8 起床 2:00 HC出発 → ピスコ登頂 5752m 8:10 ピスコ 9:30 → HC 11:30 12:30 → BC 14:30
7/9 BC 9:00 → 登山入口 10:20 

高度順応が出来ていれば最短1泊2日で登れるピスコであるがゆっくりと3泊4日掛けて登ることになる。これが私のペルー最後の山、後半チームと合流してにぎやかになった。

1日目は、登山口からBCまでの行程である。雲が少し多いものの晴れているのでワスカラン、チョピカルキetc.の山の写真を撮りながらのんびり登る。3hの歩きでBCに到着。テントを貼り、お茶をして山小屋を見学に行く。10ドルで泊まれることが判り横山さんがピスコ登頂したら帰りに泊まりたいと言い出す。そこのレストランでビールを飲み良い気分。夕食時にもワインと牧野さんのケイナの演奏があり楽しい時を過ごした。
 
2日目も、BCからHCまで2h30ほどで到着。昼食後、男性陣はスキーを担いで滑りに行ったが、女性陣はのんびり過ごした。牧野さんは17時過ぎまでスキーをしていて少々疲れたようだ。夕食後食べていたら雪が降り出しテントへ入る。明日の天気が心配になる。昼前には天気が崩れてくるので、なるべく早く出発しようということになり2時起床ということになり準備をして寝る。

3日目 ピスコアタックの日。朝食はコーヒーとジフィーズのおかゆ。3時出発の予定が少し遅れる。すぐ雪が出てきてアイゼンをつけアンザイル、ガイドのリベラート、私、野村さんの順である。4h40で登頂。牧野さんは山スキーで横山さんは1人で少し遅れて登頂した。
途中はクレパスもなく、山頂直下も去年より雪がついていてザイルで確保してもらう事もなくすんなりと行けた。ウルスより登りやすかった。
山頂でシャモニーから来ている人たちと抱き合い喜ぶ、一緒に写真を撮ったりしながら1h以上楽しんだ。本当に360度山に囲まれて景色は最高!雲が出てきたので下山。HCまで戻り一休みした後、BCまで下りた。その日のうちにワラスの街に帰る事もできるが余韻を楽しむため?疲れていたこともあり当初の予定通りBCに泊まった。みんなで乾杯!と思いきや牧野さんの調子があまり良くない。少し休むというので3人で先に乾杯・夕食を食べる。夜には牧野さんの調子も少し良くなった。

4日目 今日でペルーの山ともさようならである。朝は、雪が降っていたがすぐにやんだ。残りの食料を食べ尽くして出発。最後の日も綺麗に山々が見えた。写真を撮りながら下りる。昼過ぎにはワラスの街に着いた。ああ〜 私のペルーは終ってしまった。

その6 あれこれ

・ 高度順応について
前半高度順応できるまでは、1.眠りが浅い。2.頭痛。3.食欲がなくなる。4.下りでむかむかして吐き気をもよおす。と、いった症状が出た。薬はダイアモックス、頭痛薬、胃薬(特にこれが一番飲んだ)を服用した。人それぞれ順応の速度は違うと思うが最低でも日帰り+1泊2日は必要だと思う。今回高度順応は、アタックする山と別の場所へ行ったが、移動でかなり疲れてしまったのでアタックする山のBCやそれより高度が低い登山口のキャンプ場に何日過ごす方が良いと思った。
日程がきつくても焦らず高度順応はポコポコ時間を掛けて・・・

・ 食料
ペルーの食事はとても口に合うのだがやはり高山病になって食欲がない時は日本の物が食べたくなる。日本からも少しは食料を持っていったほうが良いかも。アッタク日はウイダーインゼリーなんかあると良いと思う。
・ 言葉
もともと英語も出来ない私だが、ワラスの街は特に全く英語は通じないので、スペイン語は必須です。今回は松島さんのお世話になり、後半は野村さんの流暢なスペイン語で助けられました。

・ 物価
ペルーはとても物価が安い。宿代朝食付で一泊800円、リマ→ワラス間のバスが約1000円、食事も現地の人が食べているレストランだと100円〜200円で食べられる。高いのがビール日本の発泡酒とあまり変わらない。思ったより費用は安く済みました。飛行機代別で25日間で73,000円でした。日本円を直接現地の通貨に両替できないので一旦ドルに換えてからの両替になります。あまり沢山両替し過ぎないように注意。私もかなりドルがあまりました。

・ 治安
出発前松島さんからメールであれこれ注意をもらっていたんだけれど特にワラスの街は安全だった。夜出歩いても安心。注意するところは空港到着後と長距離バス到着後、ボッタクリTAXIとスリが人ごみにまぎれている。パスポートのコピーは取っていくといい。乗合バスでも、何度もパスポートNo.を書かされる機会があった。

・ ペルーの山の印象
ペルーは山が近い!というのが一番思った事。ワラスの街がすでに3000mあることもあるが私達が泊まった宿から6000m級の山々が見られて感激しました。
もっとテクニックをつんで今度は6000m級の山にも挑戦したい。ワスカランも登って見たいし、アルパマヨもアタックしたい。また行きたい場所の一つになりました。