飯豊連峰 松の木尾根〜飯豊本山
2003/12/30〜2004/01/02
L.田中、鈴木、野村、都築、伊藤、岡田

12月30日 雨のち晴れ

山都 7:00 川入 8:00 川入キャンプ場 9:00 大白布沢支流徒渉 10:15 松の木尾根1120m 13:35 三国小屋16:00

 山都の駅で目覚めると昨夜から降り続く雨はまだ止んでいない。夏合宿は雨のため黒部源流まで行けなかった。今回の初冬合宿も天気に恵まれないのかなぁ…と、暗い空を見ていると不安になってくる。間もなくタクシーの運転手さんが迎えに来る。飯豊神社でお参りして、サービスの記念写真を撮ってもらい、缶コーヒーまで頂いた。
川入からワカンをつけて出発。沢沿いにしばらく歩く。沢の石の上には丸くこんもり雪がかぶさっていて、とてもかわいかった。ちょっとでもよそ見をすると、ワカンに絡まって転んでしまうので、残念だけど景色は見ないで歩くことに集中する。
 しばらくすると空がだんだん明るくなり晴れてきた。うさぎが走って、沢を二回途渉したら松ノ木尾根の急登が始まる。とても暑く、サウナに入っているようで辛く長く感じた。今日は松ノ木尾根途中の1250m付近でテントを張る予定だったが『三国小屋まで行けそうなので行こう』という事に決まってしまった。なんとかヘロ ヘロで小屋に到着。雪訓で体験したテント 泊に比べ、とても暖かく快適だった。がん ばって小屋まで来て良かったなぁと思っ た。18時、村山さんと無線が通じない。
 村山さんと会えないのかなぁ?明日の天気はどうなるのかなぁ?などと考えながら暖かいシュラフの中、いつの間にか眠っていた。
(都築結 記)

12月31日 晴れのち曇り午後より強風

三国小屋 7:30 種蒔山 9:00 切合小屋 9:40

 前日から小屋にいた小国山岳会の方から「明日は天候が悪くなるので、我々は今日空身で行ける所まで行って小屋に戻ってくる」と聞き、どうするかなと一応考えたが、切合小屋まで行く事にし出発。稜線では多少風が強くなったが、先に出た小国山岳会のトレースがあり、また、荷物を減らした結ちゃんも今日は順調に歩けて難なく小屋着。まだ時間が早いし、明日は行けない確率が高いので本山を目指そうと決めたが、いざ出ようとしたら、外はかなりの強風で視界も悪くなっており停滞とする。
 暇なので、広い小屋の中でビーコン遊びを始めるが、ビーコンをするには捜索距離が短い為すぐに飽きてしまい、私は昼寝。村山パーティー到着の知らせに目を覚ますが「うっそでしょー」とシュラフの中でうだうだしてたら、雪まみれの萩原君が現われおっどろいた。まさか今日来るとは夢にも思っていなかったので、ブリザードの中歩いてきた彼らが格好良く見えた。しかし、お疲れの彼らに、わがPのリーダーが掛けた言葉は「雪取りするならうちの分も一緒に取ってくれ」だったそうで、何て奴と思いながら「雪は後で取ればいい」と言うリーダーに同調していた私も反省。
 夜は合同で大宴会といきたかったが、いかんせん酒がなさすぎる。田中さんの酒を全部飲んでも足りないと、岡村さんがぶーたれる。「酒ない?」「ない」の会話が繰り返される。いいかげんあきらめてくれ。
 くさいぐらPの武勇伝は面白く、雪洞の巻に至っては笑いと共にあの村山さんが……という話もあり会報が楽しみだ。さて我がPの明日はどうなりますやら。
(鈴木淳生 記)

1月1日 風雪(強風)のち 晴れ のち小雨 のち曇り

切合小屋7:00 飯豊山頂10:40 切合小屋13:00? 三国小屋16:00?

 3日目は新人の伊藤の報告です。残念ながら山行中メモをとっていませんでしたので、うろ覚えのところも多いので、関係者一同細かい点はご容赦ください。
 切合小屋にて朝4時起床。眠さより風の状態が気になり、耳を澄ます。昨日は昼前からの強風で午後の山頂アタックを中止していたので、風がゆるむのを期待。特に初心者(私、都築さん)混成パーティなので、条件が厳しいと中止ではないかと、不安だった。しかも昨日、なんとも言いがたい顔で小屋に突然現れた萩原さんの顔が思い浮かぶ。今日はうちらもあんなになるのか?……。準備しながら田中Lの判断を待つ。少し待機したあと、田中Lが出発の判断!
 外は強風、視界10数メートル。今日のルートは一本尾根とはいえ、たるい草鞋塚で迷ったらと思い念入りに地図を確認。そこで、ふと、いたずらにガスで巻かれてみたいなぁ、などと思った。「よい経験になりそうだな。今日は頼りになる先輩たちもいるし。」なんて、共に準備している岡田(和)さん達をみて感じてしまった。
 いざ、出発。田中Lを先頭に草履塚目指して進む。曇天の中、尾根と空が混じりあい目を凝らさないと境がわからない。キヨミさんが「ホワイトアウトはもっと凄い」だなんて話をしてながら、振り向くと初日の出。ゴーグル越しに夕焼けのような少し高い太陽がみえた。時折、雲が切れているようだ。そういえば正月なんだと思いながら草履塚を越えると、そこには経験したことの無い強風が吹き荒れていた。
 横殴りに氷のような雪がぶちあたる。都築さんと私はよろよろだった気がする。他のメンバーを見ると、やはりたまに風に煽られている。たまに立ち止まりながら登っていはいるが、内心、いつ止めになるかと不安だった。行って見たいが田中Lは都築さんを抱えているし、私もよろけていたので、中止と言われても何も言う事はできないと思うと歯痒い。が、心配をよそに徐々に高度をあげ順調に山頂へちかづく。本山小屋が見えてきた。
 小屋脇で休憩。小用を足しに小屋裏に行くと、360度、気持ち悪いほどのエビノシッポ。皆は幸せの鐘?をついていた。私は鐘をつかず出発。あと少しで、飯豊本山山頂。小屋から先はたるく、どこが飯豊本山かわかりずらい。かなり先に標識らしき柱が見える。心がはやる。草履塚からの強風に吹かれながら山頂到着。皆で柱にさわり、記念撮影。どこか皆緊張がぐれていたと思う。都築さんと共に田中Lに頭をなでられ、祝われた。本当に来れてよかった!パーティの皆さんありがとうございます。しかし、風が強いので早々に退散。
 帰りは行きのトレースを使い、気分も足も軽い。風も徐々に収まってきたようだ。また、本山小屋にて休憩。行きに撞かなかった鐘を心軽く鳴らし、初詣。もちろん、お祈りは「今回の合宿が無事終わりますように。」街なら欲望丸しに祈るのですが……。
 草履塚に差し掛かる頃にはかなり風も収まり、青空さえ見え始める。草履塚にきて展望がよくなると、雪化粧した飯豊の山々が青空の中に広がっていた。とても綺麗だった。皆でこの景色を味わう。降りるのがもったいない。ここでランチでも食べたら最高だろうなー。ここで田中Lが、小屋で我々をまっている村山Pに報告する。田中L越しに、無線に叫びたい位、最高の気分。
 多少、雪がゆるんでいるのか気持ちのよい下り、行きにはあまり景色がみえず思わなかったが、見渡すと気持ちのよい斜面が結構ある。小屋に拠を構え、気持ちの良い斜面を滑りまくったら、さぞ楽しいだろう。後ろ髪ひかれつつ下ると、小屋から小さな人影が近づいてくる。村山さんたちだ。こうして、村山P全員に出迎えられ昼頃には無事、切合小屋に到着。
 小屋について小屋にデポした荷物をザックに詰め、暇をもてあましていた村山Pともに、本日の宿泊地である三国小屋へ向かう。ここからは午前の気候がうそのよな気楽な山行だった。
 この日は、私にとって、とても印象深い山行となった。元旦、山頂、悪天のち晴天、都築さんの京風お雑煮。大人になって久しくお年玉などいただいていないが、この日の思い出は本当によい贈り物だ。
 ……本当はこのあと、都築さんが滑落したり(何もなくて良かった)、岡村さんの雪洞講座があったりと、とても濃い一日だった。次は雪洞、もしくは経験をつんで村山Pのような山行をしてみたい。なんと楽しい山行だったろう。今回同行した田中Lはじめ、パーティの皆さん、いろいろご指導いただきありがとうございました。
 では、4日目の方にバトンタッチ。よろしくお願いします。
(伊藤康太 記)

1月2日 曇りのち晴れのち雨

三国小屋発7:00 松の木尾根1120m 8:50 タカツゴ沢 9:50川入11:00

 今日は最終日、川入までの下山のみである。朝7時、初日も合わせて2泊お世話になった三国小屋を後にする。今回は、雪の量が想像していたより少なく、天候にも割合と恵まれ、順調に行動できたと思う。飯豊本山アタックを諦め、早々に小屋で停滞を決め込んだ2日目(12/31)のみ少々ホワイトアウト状態の悪天であったが、後の日はこの山域としては、天候は良いほうだったと言えるのではないだろうか。
 そのおかげあって、ハードなロングルートだったはずの村山P・飯豊縦走メンバーと予定より1日早く遭遇することができた。大晦日の日、切合小屋に最初に現れた萩原君の勇姿に、思わず一瞬目を疑った。またしても幻覚かと思いきや本物でした。そして、下山に際しても村山P4人と共に下るので心強い。総勢10名。帰路は大所帯の行動となる。それでも最初はいちおうそれぞれのPごとに、なんとなく列を組んでいたが、途中でトップを交代した辺りから二つのPのオーダーは入り乱れた。
 たまにデジカメ撮影隊の萩原君が、ぶなの募集ポスター用の写真に……と言いながら、雪の斜面をダダッーと下って私たちにファインダーを向ける場面も。その中でも、雪山初心者の新人・都築さんのガードは田中Lがしっかり守り続けていた。が、一度、ちょっとした雪の斜面で、グズグズになった雪に足を滑らせ、ほんの少しゴロンゴロンと滑落してしまう。外傷は全くなかったようで、ザックをおろして少し休んだだけまた先に進む。雪の量は行きに比べるとかなり増えていた。先行者のトレースや赤布に助けられ順調に下ることが出来た。
 川入から山都駅までのタクシーは小屋を出発する段階で、2台確保出来ていたが途中、携帯電話のつながる場所で1時間早めてもらう連絡を取る。この携帯電話が山で使える、という便利な時代に山をやっている幸せをかみ締める瞬間だ。
 朝方、曇っていた空に青空が広がり始め、高度を下げるごとに暑さも増してきた。最後の松ノ木尾根の下りは、もう雪がシャーベット状になっており、歩き辛くなっていた。村山さんは下りながら、うわ言のように『いくら丼』を繰り返していた。もう下山路の頭の中は、「お風呂」と「ビール」と「美味しい食事」が渦巻いている。そのゴールに向けて頑張れるのでしょう。
 タカツゴ沢を渡渉すると、後は林道歩き約1時間で川入集落に到着する。下の林道ではすでに雨が降り始めていて、タクシーに乗り込む迄に、すっかりビショ濡れとなった。山都の駅に行く途中に、公営の温泉に立寄って頂き、4日間の汗を洗い流す。
 お正月の山都の駅周辺には開いているお店もなく、会津若松に移動してからお疲れ様の乾杯と食事会をして解散となる。
(野村美弥子 記)