北アルプス 北穂・槍ヶ岳縦走 | ||
2003/09/13〜14 L.三浦(直)、佐藤(直) |
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新宿都庁下駐車場より、前夜発深夜高速バスで、上高地に向かった。3連休のせいか、なんと10台以上のバスが出ているという。1台あたり50名ほど乗っていたので、新宿出発のバスだけでも最低500人が上高地に向かう計算だ。 久しぶりの上高地はすっかり整備されて、公園のようだった。巨大なトイレがあちこちに建っている。思えば、はじめて上高地に来たのも、三浦直子さんと2人だった。学生時代の11、12年?も前のことだ。えっ?あれからもう10年以上!?時の流れるのは本当に早い! そんなこんな思い出話などをしながら、あちこち可愛い花に立ち止まり、巨大なアザミを「ふさふさマイクみたーい(喜!)」と、のーんびりお散歩気分で横尾まで歩いた。 三浦直子さんは、最近読んだという「アマチュア森林学のすすめ」の感想を面白可笑しく話してくれた。帰ってから私も読みました。おすすめですよ。(「アマチュア森林学のすすめ」西口親雄著、八坂書房) 横尾山荘もすっかりリニューアルされて、大きなガラス窓の洒落た山小屋になっていた。2人で「前に来た時は窓のちっちゃな黒っぽい陰気臭い小屋で、こんなところには泊まりたくない、と思ったけどね」と。今思えば、普通の山小屋だったと思うけど。 涸沢への登りは、だらだらとしていて、意外に長く感じた。途中左手に屏風岩が見えたが、雨がぱらつく天気のせいか、取りついている人は見えなかった。奥又白方面は、何人かアプローチしているのが見えたが...。 涸沢は巨大すり鉢状というか、本当は稜線が見えると、カールの傾斜の美しさが一層わかるのだろうが、生憎、上半分は濃い霧に覆われていて全貌が見えず残念。寒いのに、涸沢ヒュッテでソフトクリームを買って2人で半分コしてまた喜ぶ。 涸沢ヒュッテ右手から南稜を登る。本降りではないが、微妙に雨が降り続くので、カッパに手袋をする。グングン高度が稼げるので、「こういうのがイイね」と真面目に登って霧の中、北穂頂上に到着。小屋は頂上の直下にあった。 北穂小屋はコジンマリしてるが、清潔感があり、なかなか居心地は良い。ソーラ発電もあり、雨水を活用、トイレもエコを配慮したつくりになっていた。以前、ヨーロッパアルプスに行った時、どこの山小屋もが素晴らしくてびっくりしたものだが、日本の山小屋も頑張っているみたいで嬉しい。 夕飯までの時間、持ってきたワインとチーズやクラッカーなどのおつまみで食堂でのお喋りがまた楽しい。食堂は狭いので、入れ替え制で、ご飯とお味噌汁はおかわりは何杯でも。中高年登山者には、食事がおいしい山小屋として有名らしく、豚の生姜焼きが美味しかった。みんな食事をカメラに収めている。そして「日本一高い場所に建つ山小屋」と印刷された箸袋を、大事そうに記念に持ち帰っていた。私は、北穂小屋オリジナル日本手ぬぐいを買ってしまった。 寝る場所は2階と3階の蚕棚のような仕切った部屋に3〜4人ずつで、我々は何故か2人だけで使わせてもらった。小屋のスタッフによると、その日は100名が泊まっていたそうだ。 朝食も順番待ちになることが予想されたので、お弁当にしてもらい、部屋でさっさと食べて、へッ電なしで歩ける明るさになったころ出発した。 霧で視界は50メートルといった程度だったろうか。本当なら、高度感のある素晴らしい景色のはずだが、一瞬霧が切れる以外は、これこそまさしく五里霧中。ルートには○や×といった印が、白いペンキでしっかりつけられているので、良く見ていけば間違うことはない。鎖やハシゴはいくつ出てきたか数えられないくらい、多数出てくるが、いずれもしっかりしているので、岩登りの基本心得のある人ならば問題ない。 「これが飛騨泣き?」「この尖ってるのが長谷川ピーク?」「これが大キレット?」と霧でよくわからないまま、セッセとよじ登ってクライムダウンしての登り降りを繰り返し、どうも核心が過ぎたか?と思われるあたりで、朝いちばんの縦走者と行き会う。「どこから来たの?早いね」と言われる。今回は荷物を軽くしたのでスピーディーに通過できた。 休憩なしで南岳小屋まで行き、しばし休むも、寒くてまたすぐに歩き出す。まったくこの霧どうにかならないものか? 南岳から槍ヶ岳の肩までは、歩きの縦走で、天気が良ければ本当に気持ちが良さそう。 そういえば、私は槍の穂先に登ったことがなかった。冬に肩の小屋まで来て、強風のため、穂先は断念したのだった。 穂先に色とりどりの登山者が列をなして張りついてるのは、なんだか滑稽なのだが、私も1度くらい登っておかねば、と列に加わる。頂上もやはり霧の中だった。頂上直下に、登り用下り用の2本のハシゴがついていたのは驚いた。 槍沢は、下るのには良いが、登りには使いたくないくらい、ダラダラと長い。山スキーには気持ちよさそうな傾斜だ。「長いねぇ」「まだあるねぇ」といいながらセッセと歩くも、さすがに行動時間が10時間を超えると、疲れが出てきた。 横尾に着いた時、北穂小屋を出発する時に、朝一番に出る我々をタバコをふかしながら見送ってくれた中年のオジ様とバッタリ再会。オジ様は北穂から涸沢経由で下りてきたということだったが、我々を、速い、健脚だ、と誉めてくれた。 久々に、しっかり歩いた、という感じのする山行だった。私がぶなに入った時の目標は「北アルプスの縦走ができるようになること。」だったのだった。今ようやく目標が達せられたということになる。桑ちゃんありがとう。 (記:佐藤(直)) (コメント)三浦(直) どこか縦走でもしようということで思案中に、'さとなお'が槍の穂に行ったことがないということが判明し、縦走の定石、光る梓川憧れの穂先登山者人気No.1の槍穂縦走をすることとなった。 この超一般的なルートも、友人と歩くと実に爽快であり、楽しいものであった。梓川の退屈な3h林道では、このごろ読んだ植生の本ことや、上高地の変遷について語り合ったりした。縦走中ではさとなおが豆大福やオレンジなどをご馳走してくれて、幸福な気持ちになった。小屋ではさとなお持参のおいしいワインをのみ、さとなおのおいしいチーズを食べ、舌が軽くなった。(さとなお様、おいしい食べ物ありがとう)槍のピストン渋滞もさとなおとしゃべっていたので、待ち時間なんてなんのその。 やはりこのようなルートは、楽しく語らったり、高山植物を観察したり、人を観察したりすることをするのがおもしろい。 |