奥鬼怒・鬼怒川湯川遡下降
2003/08/02-03
佐藤勇(L記)、江連友江、幾瀬進、飯土井進、村瀬みゆき




8月2日 晴れ
7:30-7:40奥鬼怒林道ゲート入り口〜9:40笹倉沢出合〜10:00-10:15第1源泉〜10:45-11:00第2源泉〜11:10-11:40噴泉塔〜11:55入渓〜13:00大岩沢出合(幕営)

8月3日 晴れ
6:30幕場発〜8:00 25m滝上〜9:30-10:00幕場〜11:55-12:25第1源泉野天風呂〜13:40-14:00奥鬼怒林道ゲート入り口

 合宿事前山行として谷川の湯桧曽本谷を計画していたが、谷川周辺の谷は異常に残雪が多く、よその会では敗退したり、苦戦を強いられたりしたらしいとの情報を得て、急遽奥鬼怒の湯沢に計画を変更した。湯沢には、江連さんと、飯土井さんがすでに訪れたことがあるとのことで、新鮮味の少ない申し訳ない山行となってしまった。
 川俣湖近くの「上人一休の湯」駐車場に着いたのは、午前1時15分だった。すでに、一緒に湯川に入る竹内パーティと、赤岩沢に入る英明パーティが車座で飲んでいるところだった。駐車場から温泉の建物まで、屋根付きの長い階段になっていて、途中の踊り場でシュラフにくるまった。
 蝉時雨で目をさますが、出発準備をしていると、道路向かいのオジサンが、「夜中のドアを閉める音がうるさい!、ゴミは残さずもって帰れ!」と、えらい剣幕で怒られ、目が覚める。
民家に近いところでの、夜中の宴会には注意しよう。
 川俣温泉の噴泉橋を渡り、奥鬼怒林道にはいり、5分ほどで湯沢に通じる車道がある。ゲートには鍵がかかっているため、車をゲート前のスペースに置く。ここには、数台駐車できる。
 車道を1km進むと、路肩に看板があったが、気にすることもなく通過する。これが間違いで、看板には、地形図の二つの堰堤に下降する登山道の下降点であることが示されていた。車道は更に1km奥に伸び、しかも、拡幅工事のための重機が置いてあったが、車道はそこで突然なくなっていた。
 藪の中を50m下降し、地形図に描かれている登山道に出る。が、この登山道も所々崩れているため、枝沢を利用して湯沢の川床に降りる。
 河原を歩いていたら右岸を人が歩いていた。地形図には記載されていないが、湯沢左岸に立派な登山道ができていて、川俣温泉街から笹倉沢出合まで続いているらしい。単調な川歩きだったので、その登山道を利用する。
 地形図に2カ所ある?マークは、戦後、試掘された名残らしい。川岸にコンクリートで囲った源泉から熱湯が流れ出し、川に注いでいるが、土砂を取り除いて小さな湯船が作ってあった。
 ゴルジュの中の噴泉塔は、高さ1m程度の円錐形をしていて、天然記念物。その先で登山道は川沿いから別れるが、河原は荒れたゴーロが続くだけ。両岸から崩壊した岩と倒木が河原に横たわっているが、枯れ具合から10年以上も前に豪雨と大洪水があったようだ。本来なら美しいナメのはずが、土砂に埋まっている所が多い。
 所々、流れの中の石が、湯ノ花が白く成長して藻のようになっていて、硫化水素の臭いもする。
 大岩沢出合は広々としている。この出合を過ぎると、テン場がなくなる。1段高い場所にテントを張る。周囲の山には崩れた跡が毛虫のように山頂付近から細く谷間で続いている。川の至る所に崩落した立木が朽ちていて、薪には不足しない。
 二日目は、空身で25m大滝まで往復するが、ほとんどゴーロ歩きに終始した。
ゴルジュの奥にある大滝は右の壁を渡部君リードで中間部のやや不安定な草付きを乗っこすが、ほとんどビレイ点が取れず、ハーケンも利きにくい。ここで時間切れになり、左岸をトラバースしてザレたルンゼを30mの懸垂下降で、ゴルジュの入り口に立つ。
 帰路、例のコンクリートタンクから流れ出ている熱湯が川の水とほど良く混ざっている、石で囲った湯船に浸かり、野天風呂気分を味わう。青空と蝉時雨、これに冷たいビールがあれば数日の湯治場としたいところだ。
 二つの堰堤の、上流部の堰堤に降りるまで、左岸の登山道を利用する。河原への下降点はわかりにくい。川床に降り堰堤に堆積した広いゴーロを下流部に150m程斜めに進むと、対岸(右岸)に、車道に登る入り口が切り株に赤テープで目印されていた。

 湯川は、中流の噴泉塔のゴーロと、上流の25m滝のあるゴーロが核心部と思われるが、噴泉塔は天然記念物に指定されており、また、観光客も訪ねるところから、安易に踏みこんだり、ハーケンを打ち込むことはできないのではないだろうか。
 上流部のゴーロを含め、関東周辺の沢に記されたガイドとは20年の差があるが、当時と大きく渓相が変わり、野天風呂に入る目的以外には、魅力を失ってしまったようだ。また、登山道は徒渉を繰り返し、しかも丸太を束ねた木橋はほとんど落ちていて、
一般の登山者も渓流シューズが必要なほどである。