日光・太郎山
2003/04/12〜13
 佐藤敦子(L)、竹内肇、佐藤勇、楢見舘三千枝、佐藤英明、三木聡、剣崎美弥子

4月12日(土)雨後曇り

 合宿プレ山行の意味もあり、雪山の計画を敦子さんから持ちかけられた。
 一足先に出発した英明さんの車を三木君、剣崎さんと追いかけながら雨模様の東北道に乗り、日光宇都宮道路に入る。東北自動車道の栃木インター近くの公園では満開の夜桜が、雪洞(ボンボリ)に映えていた。日光宇都宮道路の料金所は、コインを投げ入れる方式でまごつく。日光に入るころには雨もやんだ。
 戦場ヶ原から光徳牧場への入口は暗闇でわかりづらいが、上手く右折できた。22時前に光徳温泉に近い駐車場に着く。英明さんたちが到着した直後だった。綺麗な公衆便所(なんと暖房便座付き!)の前の、広い駐車場でジャンボテントを張り宴会モードとなる。真夜中に、近くの車の中で寝ていたおばさんに大声をたしなめられ、お開きの口実とする。

4月13日(日)快晴

6:40 駐車場発〜8:10 山王峠登山口〜9:30-9:45 山王帽子山〜10:00-10:10 鞍部〜11:50-12:50 小太郎山〜15:20駐車場着

 ザックの中身は昼食と飲み水程度で軽く、酔いの醒めきらない頭で除雪された奥鬼怒林道(山王林道)をだらだらと歩き始める。すぐにゲートがあり、ここから先へは一般車の通行ができない。大きく左に曲がると太郎山への登山道(ハガタテ薙コース)の看板が見えた。この登山道を利用して直接太郎山に登ろうと考えていたが、看板に登山道崩壊で「進入禁止」と書かれている。腐れ雪にはトレースも無く、そのまま奥鬼怒林道を山王峠に向かう。
 2ヶ所程ヘアピンカーブをショートカットして時間を稼ぐ。山王峠1km手前までは除雪されていて、ブルドーザーなどの重機があった。峠を越えた下流の川俣温泉まで除雪し、ゴールデンウイークに間に合わせるのだろう。
 小さな看板が雪の中に出ているところからつぼ足で山王帽子山に登る。わずかにワカンの跡もあるが、ここ数日は誰も登っていないようだ。山王帽子山山頂はなだらかで、男体山が大きく望まれる。男体山の斜面は積雪が少なく火山特有の白黒の縦縞模様で、味噌汁茶碗を伏せたように聳えている。その手前にあるなだらかな山を稜線の形から、てっきり女峰山と思い込んでいたら、実は大真名子山だった。その北に同じくなだらかな小真名小山、女峰山がさらにその奥にあった。反対側には日光白根山や遠く尾瀬が白く輝いている。
 太郎山へは一旦160m程尻セードを交えて下り、例の進入禁止の登山道が合流する尾根を登る。400m近い登りだ。斜度はきつくないが、気温が上がり積雪がくさり登りにくい。大汗をかきながらつぼ足ラッセルを繰り返すが、この季節は藪山の特徴で、地面からも雪が溶け、積雪に押しつぶされている柴の小枝の下は空洞になっている。落し穴に足を踏み込むような繰り返しで、かなりグロッキーぎみ。
 地形図では2367.5m太郎山の500m程手前に2328mのピークがある。シャリバテと熱中症?で、この小太郎山までが限度となり、南面の雪が消えている陽だまりで大休止。太郎山に向かう元気者の英明・三木パーティが、雪の乗ったいやらしい稜線にロープを引きながら進んでいくのを見ながら、のんびりと昼食をぱくつく。極楽、極楽。頂上までの往復は速くても一時間以上かかるはず。ご苦労様。
 話は変わるが、男体山・女峰山に囲まれて、大真名子、子真名子、太郎、小太郎と子供とおぼしき名前の山が並んでいる。しかも、女峰山のほうが男体山より標高が250m以上高い。周辺には子宝の湯として古くから親しまれている温泉場も多く、なかなか味な名前をつけたものである。
 下山は山王帽子山への登り返しを嫌い、ハガタテ薙の登山道を途中から利用する。この登山道は、太郎山への尾根に登りきる手前の左岸が大きく崩れているため、進入禁止となったのだろう。多少大回りになるが、雪崩や落石を避けるため南に派生している支尾根から谷に下る。
 柴の小枝をくぐりながら下ると、ちょうど崩落跡の脇に出た。落石に気をつけながら雪の詰まっている沢を足早に下り、扇状地状のカラマツ林に入る。
 登山道とおぼしきあたりをつぼ足で進むが、標高が下がるに従い積雪はグサグサで絞まりを失い、膝までもぐることが多くなる。たまらず、竹内さんがファックスロール紙の芯ほどの大きさの枯れ木をシュリンゲで両足の靴に縛りつけワカンの代用とする。皆が感心し注目する中を先頭で歩き始めたが、結びつけが甘かったのか、なんと20歩で破壊した。
林道までの最後の500mは、クロスカントリーのコースとして整備されていた圧雪車のわだちがかすかに残っていて、不自由なく歩くことができた。
 駐車場にたどり着き、一休みしていると、10分ほど遅れて二人が帰ってきた。太郎山を往復して、我々とあまり時間が変わらないとは、二人の馬力に感心する。
 いろは坂を下り、日光市街に近い清滝インターチェンジそばの「やしおの湯」で汗を流す。ごつい体躯の外人が数人入浴していた。さすがに国際観光地日光だ。

(記 佐藤勇)