後立山 爺ヶ岳東尾根

2002年12月28日〜30日
メンバー:L増井英紀、SL竹内肇、横山均、三浦直子、剣崎美弥子、永田知子


12月28日(土) 快晴のち雪

鹿島集落6:40 1200m尾根7:40 1350m8:10 1630m台地状9:30 1766mJ.P.10:45 1800m12:00無線交信、P3 1970m13:00着・テント設営、14:00テーブルでバカンス 19:00就寝

(前日)
合宿前日には、リーダー増井さん以外「あずさ」で信濃大町入り。そして雪の残る駅前でテント泊。
(5:00)
起床。テント撤収後、暖かい駅待合室で準備していると、増井さん合流。タクシー20分で鹿島集落へ着く。
(6:40)
最初は樹林帯だが、トレースが無い。
トップは増井さん。傾斜にかかわらず無雪時並の猛スピードで、距離をかせぐ。(後ろが追いつけない程)
途中、永田さん、剣崎が替わる。が、傾斜のある箇所では足が決まらず苦戦。
横山さんに交替。後ろを歩きながらコツを(重心とと秘密のコツ)を教わる。
途中より複数パーティと合流で、楽になる。稜線に出てわかんをつける。
(10:45)
宿泊予定の1766mJ.P.着。 次のP3をめざす。
(13:00)
P3に到着。直下のテン場向けの平地はすでに埋まっていた。竹内さん増井さん偵察後、少し先、傾斜のある所を削って整地。テント2つを設営。トイレ、そして雪の大テーブルと、全員が座れる椅子まで作成してもらう。
(14:00)
優雅にティータイム。目の前には、爺ヶ岳稜線と赤岩尾根の雄大な景色が広がる。まるで海外の山のよう。
風が次第に強くなり、テントへ。
そして永田さんのシチューで、おいしく夕飯。直子さんのアイデア料理にも感心する(翌日の切干大根、絶品です)。
(19:00)
4時間近いお茶と夕餉の間に、雪が降り始める。明日の行動は、天候次第となった。
7時就寝。早すぎて寝つけないまま、初日が終了した。
(剣崎記)

12月29日(日)小雪のち曇り

4:30起床 雪かき・整地 ラッセル訓練 雪洞掘り 雪洞で休憩 ビーコン探し 13:00から飲み 19:00就寝

 天気予報で29日は天気がぐずつき、30日は晴れとのことなので、朝様子を見て停滞。夜のうちに膝くらいの積雪があり、雪かき、整地をする。
その後は、胸くらいまでの泳ぐようなラッセル訓練。雪洞も大きなものが1時間くらいで出来た。雪洞でお茶をした後、寒くなったので、ビーコン探し訓練。最初は単純にビーコンを埋めるだけであるが、最後はザックにビーコンを入れて1メートル掘ったところに埋める。捜索開始から15分くらい探すのにかかる。(これでは遭難者は死亡です!!)1メートルくらいの範囲内までは5分とかからず到達するが、そこから特定するのがゾンデを使っても大変だったようだった。
 12時の交信で中根隊と連絡。稜線は青空が見えているとのこと。無線機がこの後故障したので、中根隊は不安だったことだろう。
午後1時からは延々と飲み。横山さんの干物やら剣崎さんのソーセージやら永田さんのチーズをクラッカーの上にのせるもの(すみません名前を知りません。)やら、次から次へとおつまみが出てくる。永田さんの学生生活の話を我々おじさんたちが聞いて盛り上がり、焼酎が空になる。4時の気象通報で天気図を永田さんにとってもらう。絵のような天気図をさっさと書き上げていた。夕食は、剣崎さんの手の込んだ麻婆春雨。おいしかった。夜は満天の星空で、冷え込んだ。
(増井記)

12月30日(月) 快晴

4:30起床 6:00発 2050m7:20 P2直後のナイフリッジ8:30通過 2230mテント跡8:50 P1矢沢の頭10:00 山頂11:00 2230mテント跡12:00 P3テント場13:10〜テント撤収後14:00発 1766m直下で大谷原への道と間違える(20分ほどロス)15:20 16:50鹿島山荘着

 爺ガ岳頂上ピストンをする予定のこの日、天気は快晴であった。前の晩に目を覚ましてテントの外へ出た時、夜空を埋め尽くす星が晴天を約束してくれているのだろうと期待していたが、実際そのとおりになった。4時半の起床の後、横山さんが瓶ごと担ぎ上げたキムチを雑炊に添えて朝食にする。キムチ雑炊は、起きたばかりでも美味しくてお腹に入る。
 ハーネスとわかんをテント場でつけて、頂上目指しいざ出発。トレースは切れ切れに残っており、それを辿るようにラッセルしながらすすむ。歩き始めて間もなく薄明るくなり、振り返ると日が昇るのが見えた。モノクロームの冬の峰が朝焼けで薄桃色になり、日のあたる稜線と影の谷間のコントラストが息をのむほど美しかった。交代でラッセルして進む先に、稜線を横切るウサギの足跡があった。ウサギは深雪でも足が埋まらないらしくうらやましいと思った。のぼりの途中でわかんを外してアイゼンに着けかえる。途中から先行のパーティーがラッセルした道となり、踏み固められた道を歩いた。
 核心部のナイフリッジに差し掛かると既に道がしっかりできているため、ザイルを出さずに注意して通過するだけで済んだ。ここは、注意さえすれば落ちそうにないのだが、万が一落ちたら「さようなら」になるので、緊張する。核心を通過した後に、休憩を入れる。
 白沢天狗尾根と合流したところから風が強くなってくる。北アルプスの稜線は天気が良くてもこんなに風が強いのか、と内心少し驚く。ここで竹内さんの温度計は15度を示していたが、風のため体感温度はもっと低いらしい。稜線上で風の通り道になっているところは、風が弱まってから歩くようにした。足元に小波のような風紋が出来ていて、そればかり見て歩いてふと顔をあげると、前にラッセルをしながら進む一団があった。頂上直下は雪が硬く凍っている感じだった。永田は、アイゼンの歯をきかせながら登るのがうまくいかない。竹内さんに要領を教えてもらいながら登るとやっと頂上に出た。
 頂上の展望は最高で、遠くに槍ヶ岳が見えた。記念撮影もして、大満足。さあ、これから来た道を下るのである。登ってきた時に道につけたはずの足跡は、風でもうかき消されている。永田は、頂上直下の硬い雪面を降りるのがはじめ怖くて嫌だったのでゆっくり降りた。のぼりに時間はかかるが、くだりはざくざく歩き、しりせーどで滑って一気にテント場についた。
 テントをたたみ、パッキングを済ませ、後は養老乃滝(養老乃滝にこだわることはなく、飲み屋のことを指している)を目指して、下山開始。この日の内に下山しないと、もうアルコールは切れてしまってない状況。1766メートルのところで間違えて違う尾根を下ってしまうが、すぐに気づいて戻る。 
 尾根から離れて鹿島山荘へ通じる道は急で、何度も滑って体力消耗。こんなところを登ったんだな、と初日を思い返していると鹿島山荘の前に出る。ハイヤーを呼んで信濃大町へ。その後、七倉荘で下山した中根隊と会って、一緒に宿泊した。
 無事下山、楽しい年末山行もこれで終り。2002年最後の良い締めくくりと思い出となったのではないか。
(文責:永田)