甲斐駒・黄連谷左俣アイスクライミング

2002年11月30日-12月1日  メンバー:L三浦大介(記)、中島史博、酒井謙治


大滝60mをリードした三浦とフォローする中島

 今年は冬の訪れが早い。私も遅らばせながら先週末に日帰りで唐松岳にスキー登山をしてきて今冬のスタートを切った。今週はかねてから予定していたアイスことはじめ、中島とどこにいこうかと相談していたが、11月の冷え込みに期待し、最終的にまだの登っていない黄連谷の左俣ということになった。しかし、前週に黒戸尾根から甲斐駒に登った横山Pの話しによると、右俣ですらあまり氷結状態が良くないらしい、ということで登れれば見っけモノくらいの気持ちで行くことにした。直前で中島のキャンセルの可能性がでたため、今年から本格的にアイスを始めるといっていってギアを買い込んだ酒井を誘い、最終的に3人で行くことになった。
 当初は早めに五合目に入り、行きがけの駄賃に篠沢の七丈バクを登攀する予定だったが、(遠目には凍っていた!)朝出発としたため本日はゆっくり五合泊まり。それでも快調に3ピッチ3時間半で到着。小屋にテントを張り、早速宴会をはじめる。熱燗でご機嫌。
 翌日は5時にヘッデンをつけて出発。谷までの下降は途中、不明瞭なところがあるが、あたらし目の赤テープを追っていけばよい。6時半に黄連谷へ。直ぐの谷は右を巻き、坊主の滝から登攀を開始する。氷結があまいので中島は右のルンゼから高巻く。中央部を酒井に登り方のレクチャーをしながら2Pで上部へ抜ける。アイスことはじめ。ゆっくりとウオームアップを兼ねる。徐々に感覚がもどりはじめる。酒井も快調にフォロー(3+、2P、30m+40m)中島と合流し、続く2級の滝を各自フリー、左俣に入り、最初の3段的もフリーで快適に登る。中島に先行させ、三浦が酒井をフォローしながら登るスタイルで進む。
 チムニー滝40m、3+は傾斜はさほどでもないが大きい。ここも中島がフリーでいけるというので慎重に行くように伝え、先に登って貰う。安定して登る。次に三浦―酒井でロープを出し、少し傾斜のある右から登る。快適な4級ピッチ40m。さらに各自フリーで2つの氷瀑を越えると、目前に大滝60mが現れる。結構大きく、たっている。まだ発達していないので痩せている分、垂直部分も長い。三浦リードで登り出す。この時期唯一のライン凹角状のラインから登る。垂直部が長くシーズン初めで調子は今一歩である。フィフィのお世話に甘んじる。途中のレッジでアンカーを作り、荷揚げ後、酒井がフォローするが、垂直部で力尽きる。バーチカルのぶっつけ本番はちょっと厳しかったか。ローワーダウンし、右のルンゼから巻いてもらう。中島フォローで登り、さらに上部50mいっぱいでナメ滝終了。(5級、2P、30m+50m)
 最後の滝4+、30mは中島リードで登る。安定して登り切る。酒井、三浦がフォロー。時刻は15:45。3人で左俣完登の握手。
ここから稜線までのラッセルがきつい。酒井のラッセルパワーが炸裂する。つめは中俣から左の尾根に逃げる。雪崩れの危険の少ないライン。岩峰を巻いたりで少しルートファインデング能力が要る。途中からヘッデンのお世話になる。ラッセル2時間で間で稜線。五合目でラーメンを食べ、力をつけて下山。長いくだりで全員くたくたによれる。駐車場へ降りたのは23時近くになってしまった。
 今回の左俣は完全氷結に近い状態。滝の発達はこれからであろうが、すべての滝が登れて大満足。とくにこの時期で大滝が登れるとはラッキーであった!アイスことはじめにしては充実すぎる成果?ふくらはぎが痛い。
最後の滝をリードする中島

 氷初心者の酒井くんがよく頑張ってくれた。すじはいい。今後登りこめばすぐバーチカルの要領はわかるでしょう。中島くんも昨年一緒に登り込んで安定している。さらに洗練されたアックス、フットワーク、それにフィフィレスをテーマに。
ぶなのアイスワールドも徐々に広がってきた。今年はアイスクライミングでの集中山行ができそうな気がしています。既に温めているプランがいくつかあります。今年の冬はアイスクライミングが熱い!

(コースタイム:12/1(日)曇りから雪 五合目5:00〜出合6:30〜大滝10:30〜最後の滝上15:45〜八合稜線17:45〜下山22:30)