御神楽岳集中・前岳南壁/湯沢奥壁P報告

2002年10月5-6日  メンバー:PL三浦大介(記)、岡村孝行、渡部匡俊


(前岳南壁V字4スラ/御神楽沢本谷ルンゼから湯沢高頭スラブに変更)

今年度から会企画として新たにはじまった沢集中企画の第一弾はうんちくある高山CLの独断と偏見で御神楽岳集中に決まった。当初案の上州武尊に幻滅していた私も、御神楽は以前から気になっていた山なので参加することにした。
御神楽といえば知る人ぞ知る「悪魔の爪跡」で有名な草付ルンゼ・スラブのメッカで、越後特有の快適?で新鮮な登攀が楽しめるところだ。標高は1400mそこそこのいわゆる低山薮山に属するが、豪雪と雪崩れで侵食された谷や山の側面に、荒々しく剥き出しのスラブがいたるところに存在して異彩を放っている。
目標はその中でも有名な前が岳V字スラブと御神楽沢東面ルンゼの2本立てにし、一石二鳥で欲張った計画を立てた。

10月4日 (金)

20時40分自宅(上北台発)、東北道で会津川口駅1時半到着。
所要=約5時間とはまずまずの距離かと思う。夜間の雨でスラブ登攀は遠のく思い。

10月5日 (土、明け方まで雷雨後晴れ)

(7:30駐車場〜登山道〜入渓8:30〜前岳南壁V字ルンゼ取り付き9:30〜登攀開始11:00〜終了16:00〜小屋17:00)

 霧来林道を登山口まで入り車とめる。ここは最後まで入れるが手前にも広場あり。
入渓してから30分ほどでV字ルンゼに入る。しばらくフリーで登り、クラックのある滝を(残置ピン1、ハーケン1、ナッツ1、ブッシュ、4級)30m、その後フリーでV字広場を経由せず、4スラ取り付きまで各自フリー(左側のスラブを登る)で行く。
 <V字4スラ概要>
1P:テラスから残置ピン1、左側から左上し、バンドから直上30mでハーケン2で切る。3級
2P:40m左側を登り右に少しトラバースして草つきのスラブを直上4+。薄刃のハーケンがほしかった(No.1)。ビレイ点でも薄刃が足りず、ボルト1本埋める。後続の渡部落ちる(草で滑る)。タイブロックは大きいカン付きビナで。あともう少し接続シュリンゲを長く取る(自由度多くする。自由度がないとルートがうまくない。ザイルはある程度緩めておくべきか?)
3P:45m左側のスラブを登る。残置あり3級。ビレイ点はブッシュとカム。

4P:45mカンテを右に回り込んで滝の左側を越える。ハーケンとブッシュでランニング。ブッシュでビレー。3級
5P:50mいやらしいスラブ壁をルンゼ側へ右上。ブッシュでランニング、ビレイ。
6P:50mさらにスラブを直上しブッシュでビレイ。
7P:30mやさしい階段状スラブで稜線まで。(渡部はフリーソロしてもらう)
その後、小一時間の稜線薮こぎ3級で非難小屋まで。(水場あり、まきストーブあり、まあまあ快適)
 今回、V字スラブでは一番登り応えのあるルートとして4スラを選んだ。適確なクライミングラインの見極め、及びピトンワークを含めたランナーのとり方、ビレイポイントの作り方にさら磨きをかけたい。残置がないので良いトレーニングになる。
 ルートは概ねスラブで快適。一部濡れと浮石があるので慎重に。ナッツ、カムのセットできるクラック、ハーケンの効くリス、いい潅木を見逃すな!とくにビレイポイントのすばやい探し方をもう少し洗練させたい。ボルト打つのははいただけない。薄刃クロモリ(No.1,2)、短めのハーケン多数必携。
 次回チャンスがあれば赤いスラブに行きたい。ピンはあるようなので、できればフリー化したい。

10月6日(日、晴れ)

(小屋5:30〜湯沢8:30〜大滝上11:00〜高頭スラブ〜高頭14:00〜登山道〜小屋戻る16:30〜駐車地点下山18:30 )

 秋はやはり本谷の遡行があるので奥のスラブに行くには出合いに泊まる必要がある。小屋からのアプローチの作戦はやはり厳しかった。アプローチに雪渓のある5〜6月ならいいだろう。日も長いし。
 登山道は概ね快適だが急なところはある。ヘッデンはやはりスピードは落ちるだろう。鎖場、トラロープ使用あり。
 湯沢の大滝登攀で時間をくった。30m、4+だが残置は腐ってあてにならない。ハーケン1本追加、ブッシュ、核心は上部左トラバースから落ち口の抜け、少しぬめる。
腐った残置が心もとないのでうまくナッツを効かす。微妙なバランスで抜ける。きゃー怖い!岡村氏はゴボウ。
 さらに上部につるつるの滝あり右が登れるとあるが時間かかりそう。右のルンゼからまけないか考えるがスラブ横断(支点なさそう)がシビア。あきらめて高頭スラブに入ることを考える。うまく支点取れれば。
 ルンゼの途中左にあるまあまあのブッシュでビレイし、草付きスラブを岡村に先行させる。左のスラブを横断し、ブッシュでビレイ。高頭スラブにいけそうなことを確認、行くことにする。つるべで3P出して。ザイルとく。その後フリーで尾根状のスラブをいく。壁の基部を右にトラバースし、右のルンゼに入る。スラブは2つに分かれるようだ。左の滝のあるスラブを登る。ここでフラットソールに履き替え、ザイル出す。残置あり。ピトン1追加、3+快適。あとはノーザイルでスラブを慎重に登る、部分的に風化しているので注意。ルーファイしながらつめあがり、高頭直下の登山道に出る。
 湯沢では一番最初に出てくる右のスラブで入門的なルートであろうか。まあ1本登れたので満足。湯沢の奥のスラブを狙うには雪渓の時期か、秋なら出合に泊まるべきだろう。
薄刃ハーケン、若干のナッツ・カム、念のためボルトセットも持ちたい。ロープは9mmシングルでいいと思うが、敗退の懸垂を考えると、6mm×40m程度の補助ロープがあったほうがいいかもしれない。